泡盛…歴史を学ぶほどにウマさが染み渡る酒。
今回の沖縄旅行で、どうしても行きたかった場所の一つが「ヘリオス酒造」の酒蔵見学だ。
ビール工場や日本酒の酒蔵見学は全国に数多くある。しかし、泡盛という沖縄の伝統酒を造る現場を見られる場所はそう多くない。
なぜなら、泡盛は「沖縄県で製造されたもの」だけが名乗れる酒だからだ。簡単に言えば、本土で造られたものは泡盛とは呼べない。それだけ沖縄の風土や文化に根付いた特別な酒なのである。
沖縄には酒造がいくつもあるが、レンタカーなしで巡ろうとすると意外と難しい。そんな中でも評判が高く、以前から気になっていたのがヘリオス酒造だった。
ただ一つだけ注意点がある。
試飲が素晴らしい。
ちなみに、見学料金は500円。それでも軽々と期待を超えてきた…。
ここまで酒を楽しめるのなら、むしろレンタカーよりバスで訪れた方が、ヘリオス酒造を満喫できるのではないだろうか。
それでは、ヘリオス酒造の酒蔵見学をレビューしていこう。
ヘリオス酒造の酒蔵見学とは

こちらは名護市許田というかなり静かな場所にひっそりと佇む酒造だ。あまりにもひっそりとしすぎていて、「本当にこんなところに酒造があるの?」と不安になるほどである。
代表的な泡盛は「くら」。
東京でも見かけたことがある人は多いのではないだろうか。
場所は那覇からバスで3時間くらいの名護市。名護はソーキそば発祥の地でもあり、以前紹介した「幸ちゃんそば」や「宮里そば」もある。
また、オリオンビールのビール工場見学ができる「オリオンハッピーパーク」からもバスで20分弱。
バスで訪れるなら、この2か所をセットで回るのがいいだろう。むしろバスなら必ずそのコースをお勧めする。
基本情報
- 予約方法:公式サイトからの事前予約制
- 所要時間:見学約40~60分+試飲・ショップ見学で約1時間
- 最寄りバス停:湖辺底
- 見学料金:500円
実はヘリオス酒造の見学は1日2回で、開始時間は11時と15時しかない。一度に案内する人数もそれほど多くないため、希望する時間があるなら早めに予約しておくべし。
特に15時からは取りづらかったため今回は11時から回った。
朝飯に泡盛というわけだ。
最寄りは湖辺底というバス停。どういう由来で付いたのか気になる名前だが、バスを降りると目の前には海が広がっていた。

地図を頼りに向かうのだが…こっち?あってる?という気持ちになり不安になる。

家の間を通るような細い道を進んでいくと…

ようやく大きなタンクらしきものが見えてきた!

しかし…
酒造といえばまず門や入り口があり「ヘリオス酒造」という看板がドーンとあるイメージだったのだが…なんともいえない普通感である。

写真に写っている建物はすでに酒造の敷地内なのだが、入った実感がまるでない。気づいたら入っていたというべきか…
辺りを見渡すと、「古酒蔵ショップ」という建物を発見。

どうやらここがヘリオス酒造の中枢らしく、見学の受付やお酒の販売もこちらで行っている。
中に入ってみると、想像していたよりも広い。

泡盛をはじめ、さまざまなお酒がずらりと並んでいる。
後から知ったのだが、ヘリオス酒造はクラフトビールにも力を入れており、沖縄県で初めてクラフトビールの製造免許を取得した酒造でもあるらしい。

これだけ多くの種類を造っていることに驚かされる。


さらに、ちゃっかりオリジナルグッズまで揃っていた。

外では不安になったが、ショップに入って酒やグッズを眺めているうちに、ようやく酒造へ来た実感が湧いてきた。
そんなこんなで酒蔵見学が始まった。
ヘリオス酒造の見学開始
この日は自分入れて5人のみの見学者。
オリオンビール工場見学とは違い全員日本人。
まずはお決まりヘリオスの歴史VTR。これをみてから始まる。

どうやら沖縄のサトウキビを使ったラム酒造りから始まり、その後ウイスキー、そして泡盛へと広がっていったらしい。
クラフトビールもいち早く手がけていたとあり、相当先を見ていた創業者だったんだなと頷く。
椅子はこれだけ。
あまり見学者は取らないよという空気を感じる…

模型でお勉強である。

オリオンの時と同じように素材を置いている。

泡盛はインディカ米に黒麹菌を使って仕込むシンプルな製法。ビール工場見学ほど工程の説明は多くなく、どちらかと言えば歴史に重点を置いた内容だった。
また、オリオン工場見学の時は外人を含め30人ほどの大人数であり大掛かりだった。そのためか「手練れだ〜」と感じるスタッフであったが…
こちらは素朴で素直なスタッフさん。
ちょっと見学者にも助けられちゃいそうな…
これもまた雰囲気があってよい!
さて、映像と説明が終わったら外の工場へ。
といっても工場内というより敷地内を歩きながらと言った感じである。

こちらがタンク。

製造過程で使われるさまざまなタンク。
とは言え中は見れないので今どのように稼働していて、どの工程のものなのかは不明である。

どちらかというと敷地を歩きながら風情を楽しむ感じ

そしてメインの貯蔵樽の蔵。
この外見だけでこれがメインなんだろうというのが伝わってくる。

ドラクエか!!!!!

ラスボスが絶対待ってるだろ…!!
入ると…

圧巻である…!!!
この中にラム・ウイスキー・泡盛が入って寝かせられている。樽の香りが混ざり、洋酒の香りがふわっと漂う。
本当に泡盛酒造に来たのかなと脳がバグる。

確か別の場所では(見学できない)釜にちゃんと泡盛を入れて寝かせてもいるらしい。くぅ〜〜めちゃ見たい!!
減っていってる樽のサンプル。お酒がどんどん熟成蒸発し減っていく。

そしてこれ!2000年に詰めた泡盛が眠る100年樽。

すげぇ…!!
リアル美味しんぼの第10巻にある「古酒(クースー)」である。
本当に作ってる…100年後…開封は2100年…!
もし生きれたら、その時は『美味しんぼ』の文芸評論家・古吉伸一ばりに、1か月酒を断って100年古酒と向き合いたい。
こちらには100年後の未来も、泡盛を楽しめる太平の世が続くようにという願いが込められているのである。
まさに本土決戦の被害を受けた沖縄の強い願いと気持ちを感じる。
絵はヘリオス酒造の名前の由来にもなっているギリシャ神話に登場する太陽神「ヘリオス」をイメージしたものが彫られている。

さて…ここで見学は終了である。酒を通じた精神を直で感じた素晴らしい時間だった。
味も見ておこう…ということでお待ちかねの試飲タイムへとシフトする!
ヘリオス酒造の試飲タイム
まずカウンターへ案内される。
スタッフさんから「ビールは飲めますか?」の声とともに…
え!?

プシュ!

いいじゃないかいいじゃないか。
いきなりの「シークゥワサーホワイトエール」。クラフトビールにも力を入れていると聞いていたが、本当に酒の幅が広い。
言い換えるとビール工場の試飲でいきなり泡盛が出てくるような不意打ちを感じるぞ。泡盛酒造とはいえさまざまな酒を展開し飽きさせない。
それがヘリオスの魅力だ。
味もバッチリである。ホワイトビールのウマさに、シークヮーサーの爽やかさが加わる。見学で少し汗ばんだ体に染み渡る。
さりげなく黒糖を出してくれた。

この黒糖が沖縄らしさを感じ風情がある!

そして試飲のラインナップが…!この「FREE」の文字が付いたお酒は、すべて無料で試飲できる!!
太っ腹すぎだろ!!!

一部の長期熟成古酒などは有料だが、それでもかなり良心的な価格。というか無料の全て飲んでたら酔っ払うだろう…!
ハブ酒まであり幅広い。

こちらわかりやすい表。
いいねぇ!

さっそく中央の王道「くら」からはじまり、左が3年古酒「主(ぬーし)」と右は「轟」。

「くら」はまさに王道。樽で寝かせているため風味がよくどこか洋酒っぽいウマさ。
「主(ぬーし)」は釜で寝かせているためいわゆる滑らかでまったりとした泡盛の味。
「轟」はタンク熟成のため、クセがなくどんな料理にも合いそうだ。
こちらハブ酒三種。

左からいわゆる普通のハブ酒、中央は海蛇のハブ酒。
右はハブ、ウミヘビ、マムシの3種類の蛇を漬けた「ヒドラ」というラム酒。
恐ろしい…
とはいえその「ヒドラ」が一番飲みやすくラムも効いていて素晴らしかった。飲みにくかったのは中央の海蛇。
だが、基本ハブ酒はさまざまなハーブなどを入れて作るので飲みやすくウマい。
せっかく来たので一番古い泡盛が飲みたかったのだが古くて21年もの。
さすが有料試飲である。グラスが変わる…

う〜〜〜〜んまったり。
まじまったり…!!
個人的には、寝かせるほどまろやかさが増し、乳酸発酵を思わせる風味が強くなる気がした。
かといって酸味はない。この表現難しい。
というか古酒の方が飲みやすいので困ったものだ…食事と合わせたら最高だろうな。
ヘリオス酒造の原点でもある「ヘリオスラム」や、「5年古酒ブレンドくら」もいただく。

ラムは正直そのままだとクセがキツく、自分には合わなかった。5年古酒「くら」は安定のウマさ。やはりこちらもまったりとした、乳酸発酵を思わせる風味。
とはいえ21年よりも全然スッキリといった感じだ。
さすがに種類が多すぎて飲みきれないので、この辺りでドロップ…。
味の違いや熟成方法でここまで風味が変わるのかと感動していると、スタッフさんが…
「おみやげです」
ん!?

「くら」のミニサイズ!
ありがてぇありがてぇ!!!これは嬉しい。
とても可愛く、今夜ホテルでいただくのが楽しみになってしまった。
そんなこんなでヘリオス酒造を後にした。
ヘリオス酒造見学の総評

泡盛の奥深さや楽しさ、そしてビール工場見学とはまた違った魅力を知ることができ、とても満足度の高い酒蔵見学だった。
また、一つの酒造で泡盛はもちろん、ビール、ラム、ウイスキー、さらにはハブ酒まで造っているとは圧巻であった…!

以前のオリオンの缶の種類にも似ているのだが、沖縄の地に実際足を運ぶと東京ではまったく知らなかったであろう酒の種類や歴史を感じる。
結局、人づてや遠くから見ている知識など氷山の一角だ。
ここは人間関係と同じな気がする。
「ヘリオスって『くらシリーズ』くらいでしょ」と決めつけるのも、「あの人はどうせこういう人だ」と決めつけることも、実は同じなのかもしれない。
ちゃんと酒蔵と対面して、説明を聞き、味や土地の風土を感じる。
シンプルなことだが、それができて本当によかったと心から感じている。

ヘリオス酒造はスタッフさんの雰囲気、静かな土地の自然や風土。泡盛をはじめとする酒の種類。その全部が心地よく勉強になった。
次から「くら」を東京で見つけ飲む時もそのストーリーが体を駆け巡っていくだろう。
そして、ぜひこちらもバスで来た方がお得だし楽しいだろう。あれだけの種類をゆっくり時間制限なしに飲めてしまうのだ。
この体験はレンタカーだとできない。
そんなこんなで泡盛が好きな人はもちろん、お酒好きなら一度は訪れてほしい酒蔵だった。
ありがとうございました!!

店舗情報
店名:ヘリオス酒造
住所:沖縄県名護市許田405
営業時間:10:00〜17:00(酒蔵見学は11:00・15:00の1日2回/要予約)
定休日:酒蔵見学は水曜日(ショップは営業)
その他の沖縄酒造見学はこちら
▶ オリオンハッピーパーク
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名護バスターミナルにも近く、ヘリオス酒造・オリオンハッピーパーの拠点として実際に宿泊したホテル。
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