沖縄出身の居酒屋店主に教えてもらった、
おすすめ4軒シリーズ。
沖縄そば巡りも、最後の4軒目である。
1軒目の「幸ちゃんそば」、2軒目の「宮里そば」、3軒目の「守礼そば」と、様々なカラーを見せてくれた。
正直、沖縄そばという一軒一軒の世界がこんなにも違うとは。まさに人生哲学である。
最後の舞台は、前回「守礼そば」と同じ那覇でフィニッシュ。今回の店は食べログでも上位。とはいえ、今風の新進気鋭な店だ。
そういう伝統だけではなく、新しい血を感じる店を教えてくれるあたりも、さすがだと感じた。
今回ご紹介するのは、「STAND EIBUN」という店である。
STAND EIBUNとは
今回唯一の横文字。
読み方は「スタンド エイブン」と読む。
今までとは違い、現代というべきか……。
とにかくオシャレな外観。

今までとは全く別次元の沖縄そばが出てきそうな匂いだ。
歩いてすぐ近くに本店の「OKINAWA SOBA EIBUN」があるのだが、こちらはその2号店。メニューはさほど変わりがないため、食べログなどの評価も全く同じ点数。昼には大行列ができる。
場所は那覇市。沖縄都市モノレール(ゆいレール)の牧志駅より歩いて15分くらい。国際通りからも歩けるし、少し歩けば、せんべろ酒場街も近い。
そして、この店の特筆すべきところは、一般的に沖縄そば屋は大体10時くらいから始まるのだが、朝8時から営業していること。

そのため、早めの飛行機で帰る時や着いた時、また沖縄でこれから遠くへ向かう前などの朝飯にも大変重宝するだろう。
それにしても、路面にある行列店がこの時間から営業しているのは脱帽である。
店内は入ってすぐ、タブレットとシンプルなメニュー表1枚がお出迎え。スタイリッシュ!!

メニューはこんな感じである。

自分はこのあと東京へ戻る飛行機の関係で9時頃に着いたのだが、ラッキーなことに「MORNING OKINAWA SOBA」という時間帯限定メニューをやっていて、ちょっぴりお得。これは嬉しい。
前回の「守礼そば」は迷うくらい選択肢が多かったが、これくらいのメニュー数だと決めやすい……
せっかくなので「①好きなそば+じゅーしー」を選択する。好きなそばは「ソーキそば」を選んだ。
カウンターに座るとこんな感じである。

コンクリート打ちっぱなしのような雰囲気もなかなか…!なんだか東京の新進気鋭のラーメン屋に来たような雰囲気だ。

店内は自分が入った時はまだ空いてたが、だんだん観光客の外国人で埋め尽くされていく。いわゆる今どきの有名な沖縄そば屋といった感じなのだろう。
洒落た卓上調味料のフォルム。イタリアンレストランに来たかのような……。

そして、トイレを借りたのだがトイレへの道もこんな感じ。沖縄そば屋のトイレだとは誰も思わないだろう…!

流石に朝なのでビールは控えておき、近くのセルフの水を汲んでそばを待つ。

サーバーまでおしゃれに感じるぞ…!
ソーキそばを実食

おっと!!!
いいですね。
なんというか、散々奇抜なオシャレもしてきたけど、最終的には南青山のブティックで全身黒のシンプルな服にまとめ上げましたというような。
ぱっと見はただの白Tシャツなのに、実は生地はすごくいいみたいな。そういうシンプルな中にある、本当の洗練を感じてしまうぞ。

具はソーキ、炙り軟骨ソーキ、ネギ、生姜。また、この生姜がピンッとしていて細部へのこだわりを感じてしまう。
スープはこんな感じ。レンゲが黒なので色はわかりづらいが、どちらかというとすっきりした透明寄り。じゃっかん色味がかってるというか。

おお〜〜なるほど。
奥深い豚骨のウマみと、上品なカツオ出汁。そして、ほのかな甘み。
かなりさっぱり。
単純にわかりやすく「ウマい!!!!」という感じというよりも、「洗練してるな〜」と考えてしまう味。
きっとスゴいんだろうなという絵画を見て、なんとか理解しようとする感じというか……。
このすっきりさは「宮里そば」からの進化のような雰囲気。いわゆる動物系のような脂の風味は少ない。
麺はこんな感じ。

平手打ち感と細麺のハイブリッド。口に含んだ時、一本一本の麺の形や存在感がしっかりわかる感じ。麺自体の香り、クセの主張が凄いという感じではない。
本ソーキ

こちらは結構ゴツゴツとしていて食べ応え十分!肉がたくさん付いていて、食べ応えグンバツである!
炙り軟骨ソーキ

ウマいに決まってるでしょ、といった感じの約束されたビジュアルだ!!!
かぶりつけば、炙りの風味と柔らかくとろける肉、そして軟骨がめちゃウマだった!
じゅーしー

定番の沖縄炊き込みご飯。ここのじゅーしーは、とてもさっぱりとした味。
じゅーしーは沖縄に来る前まで、しっかり味の付いた炊き込みご飯というイメージだったのだが、実際に食べてみると実に繊細。スープを邪魔しないやさしい味で、ぱくぱく食べてしまう。
やはりこうして肉と一緒に食べると、真価が出るといったところか!

お約束のこれもバチクソウマい!じゅーしーを頼むと、沖縄そばを食べる工程の幅が広がるな〜と感じてしまう。

そして食べ進めると、普段ならスープと麺と肉が一体化していくのだが、今回はうまく混ざっていかない感覚がある。一つ一つの主張が激しく、ぶつかり合うというか。
ここは多少困惑した。
一つ一つはウマいのだが……土台のスープが上品ですっきりしすぎて、肉の力強さに負けてしまう感じ。
そしてここの面白いところが、味変の多さ。
コーレーグースをはじめとして、花椒やゴーマーグースというものまである。柚子胡椒や一味唐辛子、紅生姜なども。

花椒は、すっきりした出汁にパラっと振るだけで風味豊かになる。香り高くウマい。すっきりしたスープにパンチが加わる。スープを汚さず風味が加わり結構好き。
ゴーマグースは単純に酸辣湯麺になるといった感じ。
酸味と胡麻油のような風味でスープが覆い尽くされる。これはすっきりした出汁が完全に調味料に負けるので、賛否が分かれそう。
この辺りで定番のコーレーグースと紅生姜に切り替える。

しっかり完食。
ごちそうさまでした!
STAND EIBUNの総評

今回の沖縄そば巡り、最終章4軒目。
新進気鋭というべきか、進化系の沖縄そばを体験させてもらった。
どんな新しいものが出てくるのかという期待もあったのだが、そこに出されたものは伝統を守ってきた昔からの味を受け継ぎ、それをブラッシュアップしたような沖縄そばだった。
これには、この店を作った店主は相当沖縄そばにリスペクトがあったんじゃないか?と感じたほどである。しっかりその土台を守った上で、そこに数々のアレンジをしていく。
そういう伝統×探求心を感じてしまった。

純粋な沖縄そばのリスペクトが弱ければ、もっといろんな人が「ただウマい!」というように味を調整するだろう。
ラーメンっぽくするもよし、豚骨をより強くするもよし。味を濃くするもよし。でも、この店はそうしなかった。このスープを飲んだ時、「ああ、ここは伝統ある沖縄そばを貫きたいんだな」と感じてしまった。
正直、そのリスペクトを感じた上で、個人的にはスープが重たい肉などの具材を支えきれず、結局肉のウマさのみが際立ってしまったり、様々な味変も調味料の味に浸食されやすくなったり。
このバランスが極めて難しそうだなと思ったのは正直なところ。
実際、何も載っていない「素そば」というメニューが写真付きである時点で、もしかしたらこれが一番食べて欲しい一杯なのかもしれない。

真相はわからない。
ただ、伝統へのリスペクトと、今の人にも食べてもらいたいという挑戦。その攻防を、この一杯から感じてしまった。
正直、この店舗に再来するかというと少し悩む。
そして値段も沖縄そばとしてはやや高めだ。だが今回の店は、本店を入れて4店舗あり、それぞれ違う形態をとっている。今なお進化をやめない店ということだ。
次沖縄へ行くことがあれば、他の店舗を回ってみたい。そして、さらに進化した一杯を食べてみたいと感じてしまう。
そんな期待を抱きながら店を後にした。
そんな一杯であった。

店舗情報
店名:STAND EIBUN
住所:沖縄県那覇市壺屋1-1-18
営業時間:8:00~15:00(スープがなくなり次第終了)
定休日:年中無休(Instagramを確認)
この店は、沖縄そばを200店以上食べ歩いた
店主おすすめ4軒のうちの4軒目。

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