カラシビとはご存知だろうか。
これは造語なのかわからないが「辛いと痺れ」を混ぜた言葉だ。辛くて痺れる。いわゆる麻婆豆腐を浮かべてしまう。ただ自分が小さい頃は「痺れ」という味の感覚はあまり広まってなかった気がする。
それは痺れを感じていてもそれを表す「言語化」が自分の脳内で出来ていなかったからだ。そもそも痺れを専門にした店も少なかったような…。ジャンルに対して「言語化する」というのはとても大切なことだ。この人は「太郎くん」と名付けて初めて「太郎くんと」認識できるのだ。
今回は「カラシビ」という特有のジャンルを打ち出したラーメンをご紹介したいと思う。
有名店カラシビラーメン「鬼金棒」
その名の通りである。
辛さと痺れを混ぜたジャンル「カラシビラーメン」である。少し辛そうで敬遠したいかもしれないが、実は前情報だと辛さと痺れは0にもできる。そういった振り幅で選べるのがとても親切だと思った。
これが店構え…まさに鬼である。黒と金。いやらしすぎる配色だ。そこに赤が交わることにより「強さ」と「地獄感」をかもしだしている。
辛さの看板。カラとシビを抜きにもできれば増しにもできる。鬼の割には紳士だ。しかし恐ろしいオーラを放つ看板だな…。
食券機。珍しく店内ではなく外に設置してある。本来なら初めて訪れる店は普通のデフォラーメンか全てが味わえる特製ラーメンを選ぶのだが、どうしてもパクチニストとしては「パクチーカラシビ味噌」が気になってしょうがない。心と体がパクチーになってしまった…
というわけで欲望のまま「パクチーカラシビ味噌ラーメン(1050円)」をポチり。
早速店内へ。う〜む恐ろしい店造りだ。鬼が飾ってあり棍棒が吊るされてる。ここは地獄か。なんちゅうブランディングをしてくれるんだ。
店員さんに食件を渡しポーカーフェイスで「カラシビ全て増しで」と伝えた。しかし伝えた後「本当に大丈夫か俺…」と自問自答してしまった。こういった「辛さ増し無料」や「大盛り無料」の際のカッコつけはそろそろ辞めたい。
カウンターに通される。水、つまようじ、ティッシュ、紙エプロン、よくわからない小さな缶が置いてある。思ったよりもシンプルだ。
厨房はこんな感じ、背中の「鬼金棒」のTシャツがめっちゃかっこいい。お店を背負ってるといった感じである。すごいのが着丼しそうな予感がする。豪鬼の瞬獄殺のようだ。
鍋でモヤシを炒めていたり、チャーシューを切っていたり。ライブ感がすごいぞ。楽しみすぎる!音楽のライブもいいがカウンターのライブ感も同等で素敵である。
「鬼金棒」パクチーカラシビ味噌らー麺、着丼
おおおお〜〜〜。これは見事すぎるビジュアル。素晴らしい。日本中のパクチニストが全てスタンディングオベーションをしてしまう。自分も心で涙がぬぐえなかった。最高だよ、もう最高すぎるよ。
さっそくスープを一口…
くああぁぁ!
喉をとおり、食道をとおり、胃袋に入る感覚がわかる痺れと辛さだ。しかしそれと同時に味噌とさまざまな溶け込んだスープの味が俺を侵食していく。なんだこのコクの深さは…そこにパクチーが…。これはウマい。
とにかく痺れもすごく辛さもなかなか…辛さの度合いでいうと中本の蒙古タンメンくらいかな…?それより落ちるか同等くらい。辛すぎるのは流石に無理だけど、そこそこの辛さなら頑張れるよという方にはちょうどいいかもしれない。
自分はギリのギリギリラインだったため、次に頼むなら普通でいくだろう。
麺は固めの太麺。このデフォの固めがうれしい。辛さと共に時間をかけていただくので最初は「硬いか?」と思わせてだんだんちょうど良くなっていく。これは計算なのか?
そしてこのチャーシューである。チャーシューというか、角煮だよね。やわらかくてほろほろして食べ応えが凄い。こちら崩しながら分解して麺と絡めながら食べるのをお勧めする。永遠に麺と肉が重なるデュオを楽しめることを約束しよう。
そしてヤングコーン。よくぞ入れてくれたと土下座をしたい!この味が箸休めになりフックにもなる。トッピングの隙がなさすぎるぞ!
この小さな缶にコスモ(小宇宙)が詰まっている
この缶…なんだろうというのが最初の印象だった。只者ではない雰囲気。ここに置いてあるってことはふりかけるととんでもないことになるんじゃないか…?
匂いを嗅ぐと案の定「シビ」の香りが恐ろしく襲ってきた。これはやばい。とはいえここまできたらかけるしかない!
案の定即死!あまりのシビに昇天した。しかし食べ進めるとこのからみつく止まらない味。食べ進めるうちにとんでもない調味料なんじゃないか?という気持ちになってくる。
このスパイスはカラとシビの最高峰なのかも。汗がもはやとまらない…ついつい店員さんにこれを是非購入したいと伝えてしまった。800円でお買い上げ!焼きそばやラーメンに入れて楽しみたいと思う。
「鬼金棒」パクチーカラシビ味噌らー麺の総評
辛み、痺れを感じる舌の五感に注目し、そこに一点集中させたコンセプトは脱帽するしかない。しかも基本の味噌ラーメンの味がとてもウマい。コクがあり下地がしっかりしたスープに、辛みと痺れを加えればもはや脳天をつきぬける。しかも老若男女にもやさしい、辛さも痺れもなしから選べる。
辛味噌のレジェンドである蒙古タンメン中本とはまたちがう方面から球を投げられた気分である。
パクチーラーメンというデフォのメニューがまた嬉しい。好き嫌いは分かれるがニッチさもありトレンドでもある微妙なラインをついてきたこのラーメンにはスタンディングオベーションだ。
有名店のため、もう訪れ食べた方もいると思うが是非もう一度行ってみてほしい。そうお勧めしたいお店だった。
最近だとファミリーマートにこちらのカップ麺が限定で販売されてるらしい。是非そちらも試してみたい。もちろん購入したカラシビスパイスと共に…。
ごちそうさまでした。
Tシャツなんてのも売っている。バンドみたいだ。
- 店名 カラシビ味噌らー麺 鬼金棒 神田本店
- 住所 東京都千代田区鍛冶町2-10-9
- 営業時間 (月〜土・祝)11:00〜21:30 (日)11:00〜16:00
- 定休日 無休
- Wi-Fi 不明