ウイスキー…
その響きはまるでバーの片隅に座り、キャンドルの揺れを一つ一つ数えながらこれまでの人生を振り返る。ビール党の自分には、ウイスキーとはそう映る高貴な飲み物なのである。
しかし、もう一つの顔を持つウイスキー。最近のジャパンでは「ハイボール」が流行っている。サントリー角やトリスなどの一般的なウイスキーを炭酸で割りごくごく飲むやつだ。揚げ物などと一緒に流すと大変ウマいし爽快だ。自分もビールが切れている時や、居酒屋等でハイボールがやたら安いときはついつい手がでてしまう。
まるで多重人格のような顔を持つ印象のウイスキーだが。そこまで突き詰めて気に留めたことはない。と…そんなとき友人から急にウイスキーを頂いた。「ラフロイグ」というやつだ。
これ、かなり結構有名らしい。
そもそもウイスキーと1本丸ごと向き合うこともない。そんなとき急に貰ってしまった。いわゆる高級ウイスキーというやつだ。高級じゃねーよという人もいるかもしれないが、ウイスキーにこだわりがない人間にとっては高級すぎる。
ビール党の自分もウイスキー1本と向き合うと真剣度が違う。ちゃんと味わって楽しみたい。
そんな気持ちがふつふつと現れる。
実はこれをもらうとき、少しラフロイグを飲ませてもらった。とても美味しかった。薬品のような独特な香りの中に甘みがまったり…確かに好きな人はいるなと感じた。そう、大抵忘れられなくなる味とは独特さと癖なのだ。そこにしびれあこがれてしまう。
「ラフロイグをハイボールじゃあまりのまないなぁ」
そんな言葉を聞いた。そうなのか。じゃあハイボールとは角やトリス専門なのか?あまりウイスキーには詳しくないためいろいろ脳裏によぎる。おそらく高級ウイスキーのためストレートかロックでまったりと味わうことが普通なのだろうか。
確かに、絶品のマグロがあればそれを焼いたり茹でたりせず刺身で頂きたい。ラフロイグだってそーするのだろうか。いろいろ疑問があるなか、考えても仕方ないので分量をしっかり測りハイボールを飲んでみたい…そう思ったのである。
こいつがラフロイグ。「AGED10years」の文字が輝かしい。
ちょっと調べてみたのだが…黄金比と言われるケースがまちまちだ。
- ウイスキー1:水4
- ウイスキー1:水3
- ウイスキー1:水3.5
というのが出てきた。最初はどうするべきか迷ったが、ここは開き直りをキメることにした。結局お酒の黄金比なんてものは人がつくったものだから、自分の美味しい比率は自分で決めろってことを言われたような気がしたのである。
とはいえ初心者の自分としてはこの辺りを目安に…まずは一番薄めの黄金比でウイスキーの底力というやつを見ることにした。
今回使う炭酸はセブンの強炭酸。やはり強めでイキたい。ウィルキンソンの炭酸も好きだがこちらもお安い癖に力強い発泡でお世話になっている。
分量はウイスキー50ml。グラスを冷やしてたので水滴失礼…
続いては炭酸だ…しっかり測り…
炭酸を200mlほど注入してあげる。合計250mlである。これでカンペキ。
神々しいぜ。ラフロイグフィルターが掛かっているからか黄金に見える。計算し制作するハイボールはドキドキする。
スモーキーフレーバの力強さ
飲んだ印象はマジでこれだった。黄金比のなかでも薄めで割ったはずなのに力強いスモーキーなフレーバーの匂い。薬品っぽい香りも強いのだが、しっかりとバニラのような甘さも舌に絡む。
たまに飲む居酒屋のハイボール等は、すっきりさらっと無個性で流れていく。それはそれであっさりとしていてウマいが。こちらは明白、ラフロイグの力強い主張が激しすぎる。
黄金比とはいえ薄めで割ったはず。しかしこんなにも香りが突き抜けるものなのか。底力ってやつか。
少し感動してしまった。いままでこんなことはないのだが今この文章を執筆中も味を思い出してしまう。また飲みたいと。個人的にはビールよりこっちの方が太らないし健康に良さそうなきがする。
しかし度数が40なので注意が必要だ。
新しい扉を開いてもらいこのラフロイグをゆずってくれた友人にも感謝。そしてスコットランド・アイラ島で作られた唯一無二のこのウイスキーにも感謝。感謝の正拳酒である。
何点といえば少しお高いので、はまってしまった場合は財布事情を覚悟しよう。